「はやぶさ」の帰還(その2)
6月13日19時51分、小惑星探査機「はやぶさ」は小惑星「イトカワ」のサンプルが入っているかもしれないリエントリ(再突入)カプセルを分離。
同日22時51分、オーストラリア・ウーメラー砂漠上空で、はやぶさ、リエントリカプセル共に大気圏突入。
一分後、はやぶさは強い閃光を発し燃え尽きる。リエントリカプセルは数千度の空力加熱に耐えてパラシュート展開、ビーコン(探査用の電波)発信。
その20分くらい後にカプセル本体が発見される。さらにその1時間くらい後に空中で分離したヒートシールド(リエントリカプセルの外郭部分)も発見。
ウーメラー砂漠の「落下させてもよい」とされた場所は20km×200kmあった。実際に落下した場所は予定したところから1km未満の誤差ですんでしまったという。おかげでカプセルがあっさり見つかった。
この様子を日本の地上波テレビでは見ることは出来なかった。そんなことは(前の日記で書いていたように)予想済みだったので、私はネットで見ることにした。
「ニコニコ動画」という動画サイトの中の「ニコニコ生放送」というのを使って22時ごろからパソコンの画面にかじりついて見ていた。また、同時に2chの「天文・気象板」、ツイッターも見ていた。
ニコニコ生放送のほうは最終的には閲覧者が20万人を超えた。ほかにもJAXAやNASAや一部の日本の大学が動画配信を行っていたが、これらはアクセス過多でサーバーがとまってしまった。
ニコニコ生放送の画面を何度か携帯電話のカメラで録った。

この写真の「来場者数」というのがアクセスのことで、写真左から右にかけて時間が経過している。
一番左の写真を撮ったのが確か22時30分ころ、真ん中の写真は再突入があった直後(コメント欄に「リプレイが見たい」)と出ている。右側がビーコンが聞こえてきたころ(23時10分ころ)

この写真の左側が22時52分、はやぶさとリエントリカプセルの再突入時の閃光であった。
右側がリプレイ時に再度撮ってみたものである。
思った以上に明るくて驚いた。
日本のマスコミは生放送はしなかったものの、カメラマンは行っていて写真を撮っていた。
まぁ、さすがプロ。きれいな写真になっていた。
一方NASAの観測機は空からこのときの動画を録っていた。この動画は本当にきれいだった。「はやぶさ」が、はかなくも美しく散っていった様子を鮮明にとらえていた。これを「花火」とたとえるのなら、私はこれ以上の花火を見たことがない。
そもそもこのような再突入はほとんど例がなく、この件を分析することは大きな意味を持つ。例えば隕石飛来の際に事前に軌道を予測することが出来るようになる。この辺は理論的にはこうなるんだけど…ってのがあるらしいが、それと今回のようなサイズも材質も分かっているものの突入データとつき合わせてさらに深い分析をすることが出来る。
ニコニコ生放送が終わってからこの動画を見たが、私ははやぶさに関するこの7年間のいろいろをリアルタイムで見てきただけあって非常に感動的なものであると感じた。
これとは別に、カプセル放出前までの軌道修正が完璧にうまく行ったために、少し余裕が出たために「はやぶさ」に最後のミッションが加えられた。
カプセル放出後に機体の向きを傾けてはやぶさ登載のカメラ(小惑星イトカワを撮影したもの)で地球を撮影するというものである。
すでに”ネットで”詳細な情報が流れている通り、はやぶさは3年前から満身創痍の状態で機体を傾けるには本来の方法を使うことが出来なくなっている。そこで時間をかけてキセノンガスの噴射で機体の向きを傾けなければならない。
カプセル分離から再突入まで3時間だが、実際に方向を傾けるのに使える時間は2時間程度である。その後30分以内に撮影、送信しなければならない。最期の30分ははやぶさが地球の影に入ってソーラーパネルからの電力供給が止まるからである。(充電池は3年前にほぼ全損している)
ツイッターなどの情報では、初めは「写真を数枚撮ってみたもののすべて失敗」とされた。
しかし、その後「1枚だけ撮れている」という風にかわった。まもなくこの写真はツイッターで発表された。
カメラの調整が間に合わなかったようで「単なる写真としては」失敗作であると思う。しかも、送信中に通信が途切れたので下側が灰色になっている。(JPEG形式ファイルのダウンロード中に回線が切断されるとこのような感じになる)
しかし「記録」としては、これほどまでに美しい地球の写真はそうないのではないかと言えるくらい見事なものであったと私は思う。
この「灰色の部分」(データ破損部分)を切り取って発表したマスコミがあったが、ほんと何にも分かってないんだな…とおもう。この部分は「ムダ」とでも思ったのだろうか?「ムダだから仕分け」の誰かさんと変わらないではないか。
ちなみに、このJPEGファイルをフリーウェアのJPEGファイルチェッカーにかけたところ、以下のような結果になった。

赤字で表示されている部分がエラー部分である。これは、JPEGファイルの「ここでデータ終了ですよ」というデータが欠けていることを意味している。
この画像のファイルはネットですぐに見つけられると思う。この画像と再突入時の画像と動画は歴史的資料になると思う。
この瞬間を目撃した私たちはこのことを子々孫々に自慢できるであろう。今回の件はそれにふさわしいものである。
この後、ネットを見てみたところ、予想通り海外のマスコミと日本のマスコミでの報道の力の入れようがまるで違っていた。BBCなどのニュース動画を見ると、速報扱いでニュースキャスターが大興奮して伝えていた。
一方、日本の地上波ではニュース速報すら流れなかった。
ワールドカップがあったから報道できなかった?それは外国も同じでしょう。
たしか、P.F.ドラッガー(アメリカの経済学者。数年前に亡くなった)が貧困・不景気に関して「お金がないのがつらいのではない、希望をもてないことがつらいのだ」と述べていた。
報道ではいつも景気が悪いことや、犯罪が多いことや、芸能人のスキャンダルなどがたくさん報じられている。
いいニュースもあるにはあるが、悪いニュースよりも小さく扱われがちである。そのほうが「数字」が取れるのだろう。別にうそを報じているわけでもない。
しかし、これを完全に真に受けると、この国の前途に希望がまるで見えないような感じを受ける。だから余計に生きることがつらく感じる。
今回の「はやぶさ」の一件があったからといって、私の手元に大金が転がり込んでくるわけではない。
日本人全体の所得が増大するわけでもない。
でも、こういう出来事は「希望」を与えてくれる。あのNASAですらなしえなかったことを日本はやってのけた。(未知の世界である宇宙空間での過酷なことや、地球内の(というか国内の)馬鹿げた中傷・妨害があったという意味で)ものすごい苦難を乗り越えてである。
個人的な経験でいうと社会人になってからこのドラッガーの言葉は身にしみて知ることになった。別に給料やその他待遇がよくないことそのものまだ仕方がない。それよりも、希望が持てないことそのものが猛烈に苦痛であった。
だからこそ自分の人生においても「軌道修正」をかけ続けているわけである。
この件については、今後もいろいろな面で注視していきたいと思う。

にほんブログ村

にほんブログ村
同日22時51分、オーストラリア・ウーメラー砂漠上空で、はやぶさ、リエントリカプセル共に大気圏突入。
一分後、はやぶさは強い閃光を発し燃え尽きる。リエントリカプセルは数千度の空力加熱に耐えてパラシュート展開、ビーコン(探査用の電波)発信。
その20分くらい後にカプセル本体が発見される。さらにその1時間くらい後に空中で分離したヒートシールド(リエントリカプセルの外郭部分)も発見。
ウーメラー砂漠の「落下させてもよい」とされた場所は20km×200kmあった。実際に落下した場所は予定したところから1km未満の誤差ですんでしまったという。おかげでカプセルがあっさり見つかった。
この様子を日本の地上波テレビでは見ることは出来なかった。そんなことは(前の日記で書いていたように)予想済みだったので、私はネットで見ることにした。
「ニコニコ動画」という動画サイトの中の「ニコニコ生放送」というのを使って22時ごろからパソコンの画面にかじりついて見ていた。また、同時に2chの「天文・気象板」、ツイッターも見ていた。
ニコニコ生放送のほうは最終的には閲覧者が20万人を超えた。ほかにもJAXAやNASAや一部の日本の大学が動画配信を行っていたが、これらはアクセス過多でサーバーがとまってしまった。
ニコニコ生放送の画面を何度か携帯電話のカメラで録った。



この写真の「来場者数」というのがアクセスのことで、写真左から右にかけて時間が経過している。
一番左の写真を撮ったのが確か22時30分ころ、真ん中の写真は再突入があった直後(コメント欄に「リプレイが見たい」)と出ている。右側がビーコンが聞こえてきたころ(23時10分ころ)


この写真の左側が22時52分、はやぶさとリエントリカプセルの再突入時の閃光であった。
右側がリプレイ時に再度撮ってみたものである。
思った以上に明るくて驚いた。
日本のマスコミは生放送はしなかったものの、カメラマンは行っていて写真を撮っていた。
まぁ、さすがプロ。きれいな写真になっていた。
一方NASAの観測機は空からこのときの動画を録っていた。この動画は本当にきれいだった。「はやぶさ」が、はかなくも美しく散っていった様子を鮮明にとらえていた。これを「花火」とたとえるのなら、私はこれ以上の花火を見たことがない。
そもそもこのような再突入はほとんど例がなく、この件を分析することは大きな意味を持つ。例えば隕石飛来の際に事前に軌道を予測することが出来るようになる。この辺は理論的にはこうなるんだけど…ってのがあるらしいが、それと今回のようなサイズも材質も分かっているものの突入データとつき合わせてさらに深い分析をすることが出来る。
ニコニコ生放送が終わってからこの動画を見たが、私ははやぶさに関するこの7年間のいろいろをリアルタイムで見てきただけあって非常に感動的なものであると感じた。
これとは別に、カプセル放出前までの軌道修正が完璧にうまく行ったために、少し余裕が出たために「はやぶさ」に最後のミッションが加えられた。
カプセル放出後に機体の向きを傾けてはやぶさ登載のカメラ(小惑星イトカワを撮影したもの)で地球を撮影するというものである。
すでに”ネットで”詳細な情報が流れている通り、はやぶさは3年前から満身創痍の状態で機体を傾けるには本来の方法を使うことが出来なくなっている。そこで時間をかけてキセノンガスの噴射で機体の向きを傾けなければならない。
カプセル分離から再突入まで3時間だが、実際に方向を傾けるのに使える時間は2時間程度である。その後30分以内に撮影、送信しなければならない。最期の30分ははやぶさが地球の影に入ってソーラーパネルからの電力供給が止まるからである。(充電池は3年前にほぼ全損している)
ツイッターなどの情報では、初めは「写真を数枚撮ってみたもののすべて失敗」とされた。
しかし、その後「1枚だけ撮れている」という風にかわった。まもなくこの写真はツイッターで発表された。
カメラの調整が間に合わなかったようで「単なる写真としては」失敗作であると思う。しかも、送信中に通信が途切れたので下側が灰色になっている。(JPEG形式ファイルのダウンロード中に回線が切断されるとこのような感じになる)
しかし「記録」としては、これほどまでに美しい地球の写真はそうないのではないかと言えるくらい見事なものであったと私は思う。
この「灰色の部分」(データ破損部分)を切り取って発表したマスコミがあったが、ほんと何にも分かってないんだな…とおもう。この部分は「ムダ」とでも思ったのだろうか?「ムダだから仕分け」の誰かさんと変わらないではないか。
ちなみに、このJPEGファイルをフリーウェアのJPEGファイルチェッカーにかけたところ、以下のような結果になった。

赤字で表示されている部分がエラー部分である。これは、JPEGファイルの「ここでデータ終了ですよ」というデータが欠けていることを意味している。
この画像のファイルはネットですぐに見つけられると思う。この画像と再突入時の画像と動画は歴史的資料になると思う。
この瞬間を目撃した私たちはこのことを子々孫々に自慢できるであろう。今回の件はそれにふさわしいものである。
この後、ネットを見てみたところ、予想通り海外のマスコミと日本のマスコミでの報道の力の入れようがまるで違っていた。BBCなどのニュース動画を見ると、速報扱いでニュースキャスターが大興奮して伝えていた。
一方、日本の地上波ではニュース速報すら流れなかった。
ワールドカップがあったから報道できなかった?それは外国も同じでしょう。
たしか、P.F.ドラッガー(アメリカの経済学者。数年前に亡くなった)が貧困・不景気に関して「お金がないのがつらいのではない、希望をもてないことがつらいのだ」と述べていた。
報道ではいつも景気が悪いことや、犯罪が多いことや、芸能人のスキャンダルなどがたくさん報じられている。
いいニュースもあるにはあるが、悪いニュースよりも小さく扱われがちである。そのほうが「数字」が取れるのだろう。別にうそを報じているわけでもない。
しかし、これを完全に真に受けると、この国の前途に希望がまるで見えないような感じを受ける。だから余計に生きることがつらく感じる。
今回の「はやぶさ」の一件があったからといって、私の手元に大金が転がり込んでくるわけではない。
日本人全体の所得が増大するわけでもない。
でも、こういう出来事は「希望」を与えてくれる。あのNASAですらなしえなかったことを日本はやってのけた。(未知の世界である宇宙空間での過酷なことや、地球内の(というか国内の)馬鹿げた中傷・妨害があったという意味で)ものすごい苦難を乗り越えてである。
個人的な経験でいうと社会人になってからこのドラッガーの言葉は身にしみて知ることになった。別に給料やその他待遇がよくないことそのものまだ仕方がない。それよりも、希望が持てないことそのものが猛烈に苦痛であった。
だからこそ自分の人生においても「軌道修正」をかけ続けているわけである。
この件については、今後もいろいろな面で注視していきたいと思う。
大塚行政書士事務所 http://gyousei.ohtsuka-office.jp/index.html

にほんブログ村

にほんブログ村
スポンサーサイト