中の人
先日行われたとあるイベントで、着ぐるみの「中の人」をした。
どんなイベントでどんな着ぐるみを着たのかは伏せておきたい。
大人やある程度の年齢の子どもからしてみれば、着ぐるみの中に人がいるのは分かりきったことである。…それを小さな子に知らせるべきでないことも知っておくべきことである。
こういう「夢」というのは人生に必要なもので、実は大人になってもそれはたいして変わらない。こっちのほうはしばしば「ロマン」とも呼ばれる。何が夢もしくはロマンになりうるのかは各人によると思う。
そのときの会場は「雪が多いところ」で、着ぐるみAが番(つがい)で1ペアとBという着ぐるみが1体であった。
Aの番は便宜上A1、A2と呼ぶことにする。
着ぐるみAは構造上身長が高い人が入るのには厳しくそれゆえにイベントのメンバーの中で私が選ばれた。私が入ったのは専らA1の方である。
Bの方は身長が高くてもかまわないので(こっちの着ぐるみは身長が異常に高い。室内では常に頭上注意)別のメンバーの人が入った。
A2をだれがやるのかということが問題になったが、メンバーの娘さん(後に分かったことだが小学校6年生だそうだ)が入ってくれることになった。
着ぐるみのキャラにはそれぞれのイメージがあり、決して「中の人」は声を出してはいけない。Bに関してはそれに加えて転んではいけない。などがある。
「着ぐるみ取扱説明書」が存在することなんて知られては幻滅するだろう。
そしてどの着ぐるみも視野が狭く常に付添い人が1人は必要である。
Aにいたっては付添い人がないと待機所まで戻ることすら出来ない。
さらに今回のすべての着ぐるみは空気圧で膨らませる必要がありそのためのバッテリー(原付バイク用の鉛蓄電池・密閉型)でファンを駆動して膨らませている。
そのため少し気圧がかかり、なれないうちは耳がツーンとする。さらに外から押されたりすると慣れてもまたツーンとすることになる。
このバッテリーが切れると着ぐるみが縮むことになるので、バッテリーが切れる前に待機所に戻らなければならない。
私がA1を着て外に出るや小さな子どもたちが寄ってきて、何度も写真撮影に応じることになったりした。ところが構造上視野が狭く、どこにカメラがあるか分からない。仕方が無いので撮影のときだけ動かないようにした。
また、真正面に立たれたりしても分からないので、移動の際には子どもを跳ね飛ばさないように注意を要する。
何度も子どもたちに押されまくったりしたが、なんとか踏ん張って耐えた。
中には着ぐるみの目の位置から覗き込んでくる子もいて「中に人がいる」ことがばれそうになったが、ふらふらしているふりをして覗き込みをさせないようにはした。
途中バッテリーとファンとの配線が外れて、見る見るうちに体が縮んだことがある。
まさに写真撮影に応じようとしたそのときだったので、自分から声を出して異常を知らせられない。結局周りがすぐに気がついてごまかしてくれたので事なきを得た。
子どもたちにとってはトラウマ物だっただろうが…。
その後、再度出てから戻って待機所に入る直前に転んだ際にもコネクターが外れてファンが止まって空気が抜けたがこのときは目撃者がほとんどおらず問題にならなかった。
着ぐるみAのバッテリーはコネクター類が抜けやすい。もう少し何とかならなかったものだろうかと思う。
着ぐるみA自体の着用感は意外と快適で、ファンのおかげで暑すぎず寒すぎずという感じだった。夏だったらどうなるだろうか。ただ表面が溶けた雪で濡れてくるとだんだん重くなって動きづらくなってくる。
着ぐるみBに関しては結構熱がこもるらしい。ただ材質上水分がしみこんで…ということは無いようだ。
今回の着ぐるみは着用していても大きな負担は感じられなかったが、他のメンバーからみると私がだいぶ疲れているように見えるようで、休憩することを勧めてくれた。
他の人たちも別な仕事があるのにも関わらずである。
私が行政書士になる前に属していた集団(会社など)ではこのようなことはほとんど見られず、「一秒でも長くコイツをこき使っていないと損をする」「出来れば何かしら理由を見つけて休憩時間すら奪ってやりたい」みたいな発想で人を動かそうとしていた。この方法は労働力の投入と言う意味では一見合理的なようだが人間を疲弊させやすい。
自動車等のバッテリーを完全放電(バッテリー上がり)させた経験がある人なら分かると思うが、こういうバッテリーは充電しても元の能力まで回復しない。
バッテリーなら交換すればいいが、人間もそうだと思っているのだろうか。
今回わずかな視野から子どもたちを間近に見てきた。今これを書いてそのときのことを思い出すと将来あの子たちにはそんな「バッテリー過放電」のような目にあって欲しくないと思う。
本当に休憩し続けるのも悪いので着ぐるみA2の中の人と一緒に、何気にノリノリで着ぐるみを着続けていた着ぐるみB(の中の人)の誘導をやったりしていた。
A2の中の人は年齢を考えるとかなりしっかりとした子(着ぐるみBの誘導の仕方などで判断)でさらに大人だらけの集団にあって物怖じもしない。これには本当に感心した。
この後A2が外に出たが、すぐに戻ってきた。「ヘンな子がたくさんいてやだ!もう(着ぐるみ)やらない!」ということだった。
じゃあA1で自分が出るか。ということで外に出た。それっぽいのは確かにいたが、5人くらいに押されても踏ん張りきって愛想を振りまいたら「攻撃」がやんだ。
…アレな「自称オトナ」に比べれば可愛いものだと思う。
この後、すぐに待機所に戻されてA1もお役御免となった。イベントが終わる前に着ぐるみAを乾かさなければならないので早めに終了ということだそうだ。
その後残りのイベントでは一スタッフとして何かしらの手伝いをしたり催し物を見たりして過ごした。
今回、着ぐるみを着ると言うのが初めてだった。その着ぐるみは着るとほとんど前が何も見えなくなる代物だった。
しかしながら、その着ぐるみ越しだったからこそ「みえた」ものもたくさんあったように思う。

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どんなイベントでどんな着ぐるみを着たのかは伏せておきたい。
大人やある程度の年齢の子どもからしてみれば、着ぐるみの中に人がいるのは分かりきったことである。…それを小さな子に知らせるべきでないことも知っておくべきことである。
こういう「夢」というのは人生に必要なもので、実は大人になってもそれはたいして変わらない。こっちのほうはしばしば「ロマン」とも呼ばれる。何が夢もしくはロマンになりうるのかは各人によると思う。
そのときの会場は「雪が多いところ」で、着ぐるみAが番(つがい)で1ペアとBという着ぐるみが1体であった。
Aの番は便宜上A1、A2と呼ぶことにする。
着ぐるみAは構造上身長が高い人が入るのには厳しくそれゆえにイベントのメンバーの中で私が選ばれた。私が入ったのは専らA1の方である。
Bの方は身長が高くてもかまわないので(こっちの着ぐるみは身長が異常に高い。室内では常に頭上注意)別のメンバーの人が入った。
A2をだれがやるのかということが問題になったが、メンバーの娘さん(後に分かったことだが小学校6年生だそうだ)が入ってくれることになった。
着ぐるみのキャラにはそれぞれのイメージがあり、決して「中の人」は声を出してはいけない。Bに関してはそれに加えて転んではいけない。などがある。
「着ぐるみ取扱説明書」が存在することなんて知られては幻滅するだろう。
そしてどの着ぐるみも視野が狭く常に付添い人が1人は必要である。
Aにいたっては付添い人がないと待機所まで戻ることすら出来ない。
さらに今回のすべての着ぐるみは空気圧で膨らませる必要がありそのためのバッテリー(原付バイク用の鉛蓄電池・密閉型)でファンを駆動して膨らませている。
そのため少し気圧がかかり、なれないうちは耳がツーンとする。さらに外から押されたりすると慣れてもまたツーンとすることになる。
このバッテリーが切れると着ぐるみが縮むことになるので、バッテリーが切れる前に待機所に戻らなければならない。
私がA1を着て外に出るや小さな子どもたちが寄ってきて、何度も写真撮影に応じることになったりした。ところが構造上視野が狭く、どこにカメラがあるか分からない。仕方が無いので撮影のときだけ動かないようにした。
また、真正面に立たれたりしても分からないので、移動の際には子どもを跳ね飛ばさないように注意を要する。
何度も子どもたちに押されまくったりしたが、なんとか踏ん張って耐えた。
中には着ぐるみの目の位置から覗き込んでくる子もいて「中に人がいる」ことがばれそうになったが、ふらふらしているふりをして覗き込みをさせないようにはした。
途中バッテリーとファンとの配線が外れて、見る見るうちに体が縮んだことがある。
まさに写真撮影に応じようとしたそのときだったので、自分から声を出して異常を知らせられない。結局周りがすぐに気がついてごまかしてくれたので事なきを得た。
子どもたちにとってはトラウマ物だっただろうが…。
その後、再度出てから戻って待機所に入る直前に転んだ際にもコネクターが外れてファンが止まって空気が抜けたがこのときは目撃者がほとんどおらず問題にならなかった。
着ぐるみAのバッテリーはコネクター類が抜けやすい。もう少し何とかならなかったものだろうかと思う。
着ぐるみA自体の着用感は意外と快適で、ファンのおかげで暑すぎず寒すぎずという感じだった。夏だったらどうなるだろうか。ただ表面が溶けた雪で濡れてくるとだんだん重くなって動きづらくなってくる。
着ぐるみBに関しては結構熱がこもるらしい。ただ材質上水分がしみこんで…ということは無いようだ。
今回の着ぐるみは着用していても大きな負担は感じられなかったが、他のメンバーからみると私がだいぶ疲れているように見えるようで、休憩することを勧めてくれた。
他の人たちも別な仕事があるのにも関わらずである。
私が行政書士になる前に属していた集団(会社など)ではこのようなことはほとんど見られず、「一秒でも長くコイツをこき使っていないと損をする」「出来れば何かしら理由を見つけて休憩時間すら奪ってやりたい」みたいな発想で人を動かそうとしていた。この方法は労働力の投入と言う意味では一見合理的なようだが人間を疲弊させやすい。
自動車等のバッテリーを完全放電(バッテリー上がり)させた経験がある人なら分かると思うが、こういうバッテリーは充電しても元の能力まで回復しない。
バッテリーなら交換すればいいが、人間もそうだと思っているのだろうか。
今回わずかな視野から子どもたちを間近に見てきた。今これを書いてそのときのことを思い出すと将来あの子たちにはそんな「バッテリー過放電」のような目にあって欲しくないと思う。
本当に休憩し続けるのも悪いので着ぐるみA2の中の人と一緒に、何気にノリノリで着ぐるみを着続けていた着ぐるみB(の中の人)の誘導をやったりしていた。
A2の中の人は年齢を考えるとかなりしっかりとした子(着ぐるみBの誘導の仕方などで判断)でさらに大人だらけの集団にあって物怖じもしない。これには本当に感心した。
この後A2が外に出たが、すぐに戻ってきた。「ヘンな子がたくさんいてやだ!もう(着ぐるみ)やらない!」ということだった。
じゃあA1で自分が出るか。ということで外に出た。それっぽいのは確かにいたが、5人くらいに押されても踏ん張りきって愛想を振りまいたら「攻撃」がやんだ。
…アレな「自称オトナ」に比べれば可愛いものだと思う。
この後、すぐに待機所に戻されてA1もお役御免となった。イベントが終わる前に着ぐるみAを乾かさなければならないので早めに終了ということだそうだ。
その後残りのイベントでは一スタッフとして何かしらの手伝いをしたり催し物を見たりして過ごした。
今回、着ぐるみを着ると言うのが初めてだった。その着ぐるみは着るとほとんど前が何も見えなくなる代物だった。
しかしながら、その着ぐるみ越しだったからこそ「みえた」ものもたくさんあったように思う。
大塚行政書士事務所 http://gyousei.ohtsuka-office.jp/index.html

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